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『枕草子』有名章段の読みどころ|香炉峰の雪・中納言参りたまひて・二月つごもりごろにを解説

『枕草子』の有名章段を雪景色・扇・和歌で表した和風イラスト 三大随筆
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『枕草子』の有名章段は、清少納言の観察眼、宮廷での機知、中宮定子サロンの明るさを知る入口になります。
「枕草子 有名章段」「枕草子 香炉峰の雪」「枕草子 中納言参りたまひて」「枕草子 二月つごもりごろに」と調べる人の多くは、章段ごとの内容だけでなく、人物関係や読みどころ、現代語訳の要点も知りたいはずです。
この記事では、『香炉峰の雪』『中納言参りたまひて』『二月つごもりごろに』『宮に初めて参りたるころ』に加え、『春はあけぼの』やものづくし系の章段にも触れながら、『枕草子』の代表的な章段を初心者向けにわかりやすく整理します。

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『枕草子』の有名章段一覧|場面・人物・読みどころを先に確認

(表は横にスクロールしてご覧ください)
章段名・通称 主な内容 関係する人物 読みどころ
『春はあけぼの』 春夏秋冬それぞれの美しい時間帯を描く冒頭章段 清少納言 季節の一瞬を切り取る「をかし」の感覚
『香炉峰の雪』 雪の日に中宮定子が清少納言の機知を試す場面 中宮定子、清少納言 白居易の漢詩を踏まえた教養と行動の早さ
『中納言参りたまひて』 中納言隆家の扇をめぐる会話と清少納言の機転 藤原隆家、清少納言、中宮定子 「骨」をめぐる言葉遊びと宮廷会話の面白さ
『二月つごもりごろに』 春先の雪をめぐり、和歌の上の句を即興で付ける場面 藤原公任、清少納言 和歌の教養と瞬時に応える知性
『宮に初めて参りたるころ』 清少納言が中宮定子のもとへ初めて出仕したころの緊張 清少納言、中宮定子 華やかな宮廷の裏にある不安と人間味
『うつくしきもの』 小さくかわいらしいものを並べるものづくし章段 清少納言 「うつくし」の古語の意味と細かな観察眼
『すさまじきもの』 場に合わず興ざめなものを並べる章段 清少納言 季節感や場の空気への敏感さ
『枕草子』の有名章段は、自然描写、宮廷での会話、和歌や漢詩の教養、初出仕の不安、ものづくしの分類感覚まで幅があります。章段ごとに見ると、清少納言が単に「美しいもの」を書いた人ではなく、場の空気を読み、言葉で反応する力に優れた人だったことが見えてきます。

有名章段から見える清少納言の機知と宮廷文化

平安時代の宮廷で清少納言の機知と『枕草子』の世界を表した和風イラスト

『枕草子』の有名章段は、清少納言の美意識と宮廷文化を理解する入口です。『春はあけぼの』のような自然描写だけでなく、『香炉峰の雪』や『中納言参りたまひて』のように、会話の中で教養や機転が試される章段も多くあります。
『枕草子』は、出来事をただ記録した日記ではありません。清少納言が「何を面白いと思ったか」「どの場面に心を動かされたか」「どんな言葉を美しいと感じたか」を、鋭く切り取った随筆です。
作品全体の流れを先に押さえたい場合は、『枕草子』の全体解説もあわせて読むと、有名章段の位置づけがわかりやすくなります。
この記事では、章段ごとの原文や現代語訳を必要な範囲に絞りながら、「なぜ有名なのか」「どこを読めば面白いのか」を中心に解説します。

『香炉峰の雪』から『宮に初めて参りたるころ』までを読む

『香炉峰の雪』『中納言参りたまひて』『二月つごもりごろに』を絵巻風に表した和風イラスト

ここでは、『枕草子』の有名章段の一部を取り上げます。原文表記は資料や教材によって揺れがあるため、学校のテスト対策では、使用している教科書の表記も確認してください。

『香炉峰の雪』|中宮定子が清少納言の教養を試す名場面

「少納言よ、香炉峰の雪いかならむ」と仰せらるれば、御格子上げさせて、御簾を高く上げたれば、笑はせ給ふ。

現代語訳:中宮定子が「少納言よ、香炉峰の雪はどうであろう」とおっしゃったので、清少納言が格子を上げさせ、御簾を高く上げると、中宮定子はお笑いになった。

『香炉峰の雪』は、清少納言の教養と反応の早さがよく表れた章段です。中宮定子の「香炉峰の雪」という言葉は、白居易の漢詩を踏まえたものとされています。
清少納言は、その言葉を聞いて説明で答えるのではなく、御簾を上げるという動作で応じます。漢詩の内容を理解しているからこそ、言葉ではなく行動で答えられるのです。
この章段の面白さは、知識をひけらかすことではなく、場に合った形でさっと示すところにあります。中宮定子が笑うのは、清少納言の反応が期待通りであり、しかも気が利いていたからです。

『中納言参りたまひて』|扇の骨をめぐる言葉遊び

中納言参りたまひて、御扇奉らせたまふに、「隆家こそいみじき骨は得て侍れ」と申したまふ。

現代語訳:中納言が参上なさって、御扇を差し上げなさるときに、「隆家はたいそう立派な骨を手に入れました」と申し上げなさった。

海月の骨

現代語訳:くらげの骨。

『中納言参りたまひて』では、藤原隆家が扇の骨について自慢げに語る場面が描かれます。扇の「骨」という言葉をめぐって、清少納言が「海月の骨」を思わせる機転の利いた返しをするところが有名です。
くらげには骨がありません。そのため「海月の骨」は、ありえないものを言う言葉遊びとして働きます。相手の言葉を受け止めながら、すぐにひねって返すところに、清少納言の会話のうまさがあります。
この章段は、相手をただ言い負かす話ではありません。宮廷では、相手の言葉を受け、場を壊さずに面白く返すことも教養の一部でした。清少納言の鋭さは、まさにその会話の空気の中で発揮されています。

『二月つごもりごろに』|下の句を受けて上の句を付ける知性

二月つごもりごろに、風いたう吹きて、空いみじう黒きに、雪少しうち散りたるほど。

現代語訳:二月の終わりごろ、風がひどく吹いて、空がたいそう暗く、雪が少しちらついているころ。

少し春ある心地こそすれ

現代語訳:少し春があるような気がする。

空寒み花にまがへて散る雪に

現代語訳:空が寒々として、花に見まがうように散る雪に。

『二月つごもりごろに』は、春になりきらない時期の雪をめぐる章段です。一般に、藤原公任が示した下の句「少し春ある心地こそすれ」に対して、清少納言が「空寒み花にまがへて散る雪に」と上の句を付けた場面として読まれます。
ここで大切なのは、清少納言がただ和歌を知っているだけではないことです。天気、季節、相手の意図、言葉の流れを一瞬で読み取り、ふさわしい句を返しています。
『香炉峰の雪』が漢詩の教養を示す章段だとすれば、『二月つごもりごろに』は和歌の教養を示す章段です。どちらも、知識が頭の中にあるだけでなく、場面の中で自然に働いていることを伝えています。

『宮に初めて参りたるころ』|華やかな宮廷に入ったばかりの不安

宮に初めて参りたるころ、ものの恥づかしきことの数知らず。

現代語訳:中宮定子のもとに初めて出仕したころは、何につけても恥ずかしく感じることが数えきれないほど多かった。

『宮に初めて参りたるころ』は、清少納言が中宮定子のもとへ出仕したばかりのころを振り返る章段です。華やかで知的な宮廷世界の中に入ったばかりの緊張や気後れが描かれます。
清少納言というと、機知に富み、堂々とした人物という印象が強いかもしれません。しかし、この章段では、最初から自信満々だったわけではないことがわかります。
だからこそ、この章段は読者にとって親しみやすい入口になります。華やかな宮廷文学の中にも、新しい場所に入ったときの不安や恥ずかしさという、現代にも通じる感覚があるからです。

『春はあけぼの』とものづくしも有名章段として押さえたい

『枕草子』の有名章段を考えるとき、『香炉峰の雪』や『中納言参りたまひて』のような宮廷会話だけでなく、『春はあけぼの』やものづくし系の章段も外せません。
『春はあけぼの』は、春夏秋冬の美しい時間帯を短い言葉で切り取る冒頭章段です。清少納言の「をかし」は、ここでは会話の機知ではなく、季節の一瞬を見抜く感覚として表れています。
一方、『うつくしきもの』『すさまじきもの』などのものづくしでは、似た性質をもつものを並べることで、清少納言の好き嫌いや判断の基準が見えてきます。自然描写、宮廷会話、ものづくしをあわせて読むと、『枕草子』の幅広さがつかみやすくなります。

有名章段の読みどころは「知識」よりも「場に応じた反応」にある

『枕草子』の有名章段を読むとき、漢詩や和歌の知識だけに注目すると、少し硬い読み方になります。もちろん、『香炉峰の雪』には白居易の漢詩、『二月つごもりごろに』には和歌の教養が関わります。
しかし、本当に面白いのは、清少納言がその知識を「場に応じて使っている」ことです。中宮定子に問われたとき、藤原公任の言葉を受けたとき、藤原隆家の発言に返すとき、清少納言は相手と場面に合わせて反応します。
この反応は、単なる早口や頭の回転だけではありません。相手が何を期待しているか、場をどう明るくするか、自分がどこまで言えば面白くなるかを見極める力です。
知識を持っているだけではなく、必要な瞬間に取り出し、言葉や行動に変える。その知的な軽やかさが、有名章段を今読んでも面白くしています。

有名章段だけでは見えない『枕草子』の奥行き

『枕草子』には、自然を描く章段、ものづくし、宮廷生活を語る章段、人物評など、多様な文章があります。有名章段だけを読むと、作品全体の一部しか見えないように思えるかもしれません。
けれど、『香炉峰の雪』『中納言参りたまひて』『二月つごもりごろに』には、『枕草子』らしさが凝縮されています。中宮定子を中心とする宮廷サロンの空気、和漢の教養、会話の機転、清少納言の自負が一度に見えるからです。
また、『宮に初めて参りたるころ』をあわせて読むと、清少納言の印象は少し変わります。機知に富む才女である一方、初めは緊張し、恥ずかしさを感じる人間でもありました。
有名章段を並べて読むことで、『枕草子』は単なる「明るい随筆」ではなく、宮廷で生きる人々の会話、緊張、教養、美意識が重なった作品として見えてきます。

『方丈記』『徒然草』と比べた『枕草子』有名章段の読み味

三大随筆の中で見ると、『枕草子』の有名章段は、宮廷の明るい空気と知的な会話が前面に出ています。『香炉峰の雪』や『中納言参りたまひて』では、言葉を受けて即座に返す反応の早さが魅力です。
一方、『方丈記』は、災害や住まいの変化を通して、世の中の無常を見つめる作品です。『徒然草』は、人間の失敗やふるまいを観察し、教訓や美意識へ広げていきます。
作品 有名章段の特徴 中心になる読みどころ 読後感
『枕草子』 宮廷会話、機知、自然描写、ものづくし 「をかし」の感覚と会話で働く知性 明るく、知的で、テンポがよい
『方丈記』 災害、住まい、世の移ろい 無常観と人生の見つめ直し 静かで、深く考えさせる
『徒然草』 失敗談、教訓、美意識、人間観察 人間のふるまいへの距離感 冷静で、時にユーモラス
三大随筆として読み比べる場合は、『方丈記』の全体解説『徒然草』の全体解説もあわせて読むと、それぞれの随筆の違いが見えやすくなります。
『枕草子』の有名章段は、深刻な人生論よりも、場面の明るさ、言葉の切れ味、人とのやり取りの面白さに強みがあります。三大随筆の中でも、会話の場で知性が働く作品です。

テスト対策|有名章段で押さえたい人物関係・教養・表現

『枕草子』の有名章段は、学校のテストでもよく扱われます。特に、登場人物の関係、漢詩や和歌の教養、清少納言の機知、重要語句の意味が問われやすいです。

章段ごとの学習ポイントを整理する

章段 問われやすい点 答え方のコツ
『香炉峰の雪』 中宮定子の問いと清少納言の反応 漢詩の教養を、御簾を上げる行動で示したと説明する
『中納言参りたまひて』 扇の骨と「海月の骨」の言葉遊び 骨のないくらげを使った機知として押さえる
『二月つごもりごろに』 下の句に対して上の句を付けるやり取り 春先の雪を、花に見立てた表現として読む
『宮に初めて参りたるころ』 初出仕の緊張と中宮定子との関係 清少納言の人間味が見える章段として説明する
『春はあけぼの』 四季と時間帯、自然描写のリズム 季節そのものではなく、一瞬の美しさを選んでいると説明する

「をかし」は章段ごとに働き方が違う

『枕草子』の重要語として「をかし」がありますが、すべてを「おもしろい」と訳すだけでは不十分です。『春はあけぼの』では自然の趣、『香炉峰の雪』では気の利いた反応、『中納言参りたまひて』では会話の機知として表れます。
テストで清少納言の美意識を問われた場合は、「美しいものを眺める感覚」だけでなく、「言葉や行動の気の利き方を面白がる感覚」まで含めて考えると、答えに深みが出ます。

現代語訳では人物の敬語関係に注意する

宮廷を舞台にした章段では、敬語表現が多く出てきます。誰が誰に対して話しているのか、中宮定子、清少納言、藤原隆家、藤原公任の関係を整理して読むことが大切です。
現代語訳では、単語の意味だけでなく、「誰の動作か」「誰への敬意か」を確認すると、場面がつかみやすくなります。

『枕草子』から三大随筆へ広げて読むなら

『枕草子』の有名章段を読むと、清少納言の機知や中宮定子サロンの雰囲気が見えやすくなります。とくに『香炉峰の雪』『中納言参りたまひて』『二月つごもりごろに』は、知識を場面の中でどう使うかを味わえる章段です。
そこから『方丈記』『徒然草』へ広げると、同じ随筆でも、作品ごとに見つめているものが違うことがわかります。『枕草子』は宮廷の明るい知性、『方丈記』は移ろう世の無常、『徒然草』は人間のふるまいへの観察が中心になります。

『枕草子』の有名章段についてよくある質問

『香炉峰の雪』は白居易の漢詩を知らないと読めませんか?

知らなくても場面の流れは読めますが、漢詩を踏まえると清少納言の反応の意味がよりはっきりします。知識を行動に変えた場面として読むとわかりやすいです。

『中納言参りたまひて』の面白さはどこにありますか?

扇の「骨」という言葉を受けて、骨のないくらげを連想させる機知にあります。宮廷会話の速さとしゃれた言葉遊びが読みどころです。

『二月つごもりごろに』は和歌を知らないと読めませんか?

和歌の知識があると深く読めますが、まずは「春先の雪を花のように見立てた場面」と押さえれば大丈夫です。季節のずれを言葉で美しく整える章段です。

『宮に初めて参りたるころ』はなぜ大切なのですか?

機知に富んだ清少納言にも、初出仕の緊張や恥ずかしさがあったことがわかるからです。人物像に奥行きを与える章段です。

『春はあけぼの』と宮廷会話の章段は何が違いますか?

『春はあけぼの』は自然の一瞬を切り取る章段です。一方、『香炉峰の雪』や『中納言参りたまひて』では、人との会話の中で清少納言の知性が働きます。

有名章段だけ読んでも『枕草子』は理解できますか?

入口としては十分役立ちますが、ものづくしや日常描写も読むと、清少納言の感性がより立体的に見えます。有名章段は作品全体へ進むための入口と考えるとよいでしょう。
『枕草子』の有名章段は、声に出して読むと会話のテンポや言葉の切れ味がよく伝わります。古典は音読や朗読で味わうと、現代語訳だけでは見えにくい面白さもつかみやすくなります。

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まとめ:『枕草子』の有名章段は清少納言の機知を読む入口

『枕草子』の有名章段は、清少納言の美意識、宮廷での会話、和漢の教養、中宮定子サロンの明るさを知るための重要な入口です。『香炉峰の雪』『中納言参りたまひて』『二月つごもりごろに』を読むと、清少納言が場に応じて言葉や行動を選ぶ力に優れていたことがわかります。
一方で、『春はあけぼの』やものづくし系の章段を読むと、自然描写や分類の感覚も見えてきます。有名章段を並べて読むことで、『枕草子』は単なる明るい随筆ではなく、宮廷で生きる人々の知性と人間味が重なった作品として理解できます。
  • 『香炉峰の雪』は、漢詩の教養と清少納言の機転が見える章段
  • 『中納言参りたまひて』は、扇の骨をめぐる言葉遊びが読みどころ
  • 『二月つごもりごろに』は、和歌の教養と即興性が表れる章段
  • 『宮に初めて参りたるころ』では、清少納言の緊張や人間味が見える
  • 『春はあけぼの』やものづくしをあわせて読むと、『枕草子』の幅がわかる
  • テストでは、人物関係、敬語、漢詩・和歌の教養、清少納言の反応が問われやすい
『枕草子』の有名章段は、暗記するだけではもったいない文章です。誰が、どの場面で、どんな言葉を受け、どう反応したのかを追うと、清少納言の面白さがぐっと近づいてきます。

参考文献

  • 『新編 日本古典文学全集 枕草子』小学館
  • 『日本古典文学大系 枕草子 紫式部日記』岩波書店
  • 『角川ソフィア文庫 新版 枕草子』角川学芸出版
  • 『ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 枕草子』角川ソフィア文庫

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